今、注目の美白成分「ハイドロキノン」。
欧米では、「美白=ハイドロキノン」といわれるほどポピュラーな成分です。
しかし非常に刺激の強い成分のため、日本では一般的な使用が禁じられてきました。
2001年の規制緩和によって市販化粧品への配合が許可されましたが、適切に使用しないと肌トラブルを起こす可能性が高いです。
リスクが高いだけに、その効果や使用時の注意ポイント、副作用について知っておく必要があります。
お尻の黒ずみの治療をはじめ、皮膚科でも使用されることがあるハイドロキノンについて紹介します。
ハイドロキノンとは?
ハイドロキノンは、アルブチンの一種。
いちごやブルーベリー、コーヒーなどにも含まれる物質で、皮膚を紫外線などによる傷から守る作用があります。
非常に強い美白効果を持ち、同じ美白成分で知られるビタミンCやプラセンタエキスなどの10~100倍効果があるといわれいます。
その強さから「肌の漂白剤」とも呼ばれる美白成分です。
[ハイドロキノンの美白効果]
- シミを薄くする効果 → メラニン色素を還元する
- シミを予防する効果 → メラニン色素の酵素を抑える
ハイドロキノンの美白効果 シミを薄くする
ハイドロキノンには”漂白剤”とも呼ばれるほど強力な還元力(メラニン色素を分解する力)があります。
作らせないだけでなく、できてしまったシミも薄くしてくれるハイドロキノン。
他の美白成分にはない効果です。
うれしい反面、その漂白力の強さから取扱いに注意が必要です。
ハイドロキノンの美白効果 シミを予防する
シミや黒ずみの原因になるのがメラニン色素です。
肌に刺激があり、情報伝達物質がメラノサイトに届くと、メラニン色素の生成が始まります。
「チロシン」というアミノ酸に対して、メラノサイトにある「チロシナーゼ」という酸化酵素が働き、メラニン色素へと変えてしまいます。
ハイドロキノンには、メラニン色素へと帰るチロシナーゼの働きを抑える力があります。
その阻害力は、アルブチンの100倍。
強力な力を持っています。
効果を発揮するシミの種類
ハイドロキノンは非常に強い美白成分ですが、すべてのシミに効果があるわけではありません。
シミの中でも効果があるものとないものがあります。
ハイドロキノンの効果がある主なシミ・黒ずみ
老人性色素斑(日光性黒子)
紫外線が主な原因でできるシミ。
頬骨の高い位置からできることが多く、数mm~数十mmの丸い色素斑であることが多い。
でき始めは薄い茶色をしていますが、次第に黒くはっきりしてくるのが特徴です。
肝斑(かんぱん)
女性ホルモンの乱れが大きく影響してできる肝斑。
頬骨を中心に、左右対称にできることが多く、薄い茶色、または灰色などのモヤッとしたものができることが多い。
炎症性色素沈着
ニキビや傷、虫さされなどによる炎症が原因で、その跡がシミになったもの。
また、こすったり、叩いたり、ムダ毛を抜いたり、強い力でマッサージしたりした時にも炎症が起こり、シミや黒ずみとして跡が残ることがあります。
ハイドロキノンは、太田母斑など真皮のシミには効果はありません。
使用する際の注意ポイント
ハイドロキノンを使用する際に注意しておきたいポイントを紹介します。
バッチテストをする。
市販されているものは1~4%程度ですが、最近は5%のものも販売されるようになりました。
濃度が低いとそれほど心配ではありませんが、敏感肌や皮膚の弱い方、特に美白化粧品やヘアカラーでアレルギーを起こしたことがある場合は、肌に合わない可能性があります。
まずバッチテストを行いましょう。
絆創膏に使用する化粧品を塗り、二の腕など皮膚の薄いところに24時間程度貼り、様子を見てください。
赤みや肌に異常が起きた時は、使用をするのは絶対止めましょう。
ハイドロキノン配合の化粧品は、夜、使用する。
ハイドロキノンは紫外線を浴びるとシミを濃くする性質があります。
お尻の場合は、お尻に紫外線が当たるような服装でなければそれほど気にする必要はありませんが、基本的に紫外線が当たらない夜に使用するようにしましょう。
※海水浴やプールに行く前の使用は控えましょう。
皮膚を洗った直後ではなく、少しおいてから塗る。
清潔な肌に塗ることは大前提になります。
しかし洗った直後は浸透性が高く、効果が出すぎてしまう恐れがあります。
ハイドロキノン配合の場合は、清浄後、20分ほどおいてから塗るのがおすすめです。
ピーリング後は数日あけてから使用する。
角質肥厚になっていると成分が浸透しずらいので、定期的にピーリングを行うことは肌にとっていいことです。
しかしピーリング直後は、ハイドロキノン配合の化粧品は使用しないようにしましょう。
ピーリング後の肌はとても敏感です。
数日あけてから使用しましょう。
紫外線対策を必ず行う。
ハイドロキノンは紫外線が当たるとシミ、黒ずみを濃くしてしまう性質を持っています。
ハイドロキノン配合化粧品を夜に塗ったとしても影響が残っている場合があります。
いつも以上にしっかりと紫外線対策を行いましょう。
紫外線は室内にも入ってくるので、外出するしないに関わらず、UVケアは忘れずに。
使用したハイドロキノン配合化粧品は1ヶ月程度で使い切る。
ハイドロキノンは、酸化しやすく、変色しやすい成分です。
使用後は蓋をしっかり閉め、冷暗所や冷蔵庫に保管し、1ヶ月程度で使い切るようにしましょう。
古くなったものは使用しないでください。
長期にわたって使用しない。
ハイドロキノンは強い成分なので、長期間にわたって同じところへの使用は控えましょう。
基本的には3ヶ月以上の使用は避けてください。
副作用
ハイドロキノンは非常に強い成分なので、副作用が起こるリスクが高いです。
赤みや炎症、皮膚がむける
刺激が非常に強い成分なので、赤みや炎症、かぶれ、皮膚がむけるといったことが起こる可能性があります。
さらに、腫れや水疱ができることもあります。
敏感肌の方や皮膚の弱い方、肌に合わない方、劣化したハイドロキノンを使用した時などに起こりやすい症状です。
事前にバッチテストを行うなど、取扱いには細心の注意をしましょう。
シミ・黒ずみの悪化
ハイドロキノンは紫外線に当たるとシミを濃くしてしまう作用があります。
そのため、紫外線対策をしっかり行わずに使用し、紫外線を浴びてしまうと、逆効果になってしまいます。
室内外問わず、しっかりとUVケアをしましょう。
白斑
5%以上の高濃度のハイドロキノンの長期間使用、低濃度でも1年以上同じ箇所に使用し続けると、塗ったところが白斑(白くなってしまうこと)になってしまうことがあります。
白斑になってしまった皮膚の治療は大変難しく、元に戻らない可能性が高いです。
ハイドロキノンの使用には十分な注意が必要です。
医療機関では高濃度のハイドロキノンによる治療が行われることがあります。
医師の指示に従って行う場合、注意は必要ですが、そのリスクは少ないです。必要以上に不安になる必要はありません。
医師の指示に従って使用しましょう。
ハイドロキノンはおよそ100日以上の使用で肌に耐性ができ、効果が薄れることがわかっています。
そのためシミや黒ずみ治療に使用する場合、3ヶ月ほどの集中ケアがポイントになります。
また5%濃度のハイドロキノンの動物実験で発がん性が指摘されています。
そのためヨーロッパでは使用を禁じる国もあるほどですし、積極的に治療薬として使用している米国でも、4%以上配合されたものは処方箋がいるそうです。
医師の処方であれば、その指示に従い正しく使えばリスクは低いですが、自己判断で適当に使用するのは大変危険な成分です。
なぜ使用している化粧品(コスメ)が少ない?
2001年に薬事法が改正された際、市販化粧品への配合が認められ、シミや黒ずみに期待できる成分にもかかわらず、実際に使用している化粧品(コスメ)は少ないです。
なぜなのでしょうか。
酸化しやすく、不安定なため
ハイドロキノンは、酸素・光・温度・時間などの影響をとても受けやすく、酸化しやすい成分です。
化粧品(コスメ)に配合しにくいことが、ハイドロキノン配合化粧品(コスメ)が増えない理由の一つです。
効果が強力すぎて注意が必要であるため
ハイドロキノンの美白力はとても強く、肌への刺激が強いことから、一歩間違えると肌トラブルを起こすリスクがとても高いです。
誤った使用をすると、白斑などが起こる可能性があり、化粧メーカーとして扱いづらいのも理由の一つです。
お尻の黒ずみケアには有効?
ハイドロキノンの副作用を考えると、自己判断で使用するのはおすすめできません。
セルフケアであれば、お尻の黒ずみのケアクリームが通販で購入できるので、それが一番おすすめです。
即効性はないですし、ケアに時間はかかりますが、ハイドロキノンを誤って使い、白斑やがんなどのリスクを考えると、絶対的にお尻専用ケアクリームがいいと思います。
医師が処方する場合は、シミ・黒ずみの状態や肌の状態などを見て判断されるので、医師の指示に従いましょう。
まとめ
非常に強い美白成分で知られる「ハイドロキノン」。
[ハイドロキノンの美白効果]
- シミを薄くする効果 → メラニン色素を還元する
- シミを予防する効果 → メラニン色素の酵素を抑える
その強い美白力から「肌の漂白剤」とも呼ばれるほどです。
美白効果は非常に強いですが、それだけに肌に与える影響、副作用のリスクが高く、誤った使い方をしてしまうと、赤みや炎症、皮がむける、白斑など、中には取り返しが付かないほどの肌トラブルを起こしてしまう可能性があります。
使用する際は、細心の注意が必要な成分です。